過去の国際共同研究について
①「放射線事故への備えとその影響を受けた人々の健康調査に関する勧告及び施策」(英語名:Recommendations and procedures for preparedness and health surveillance of populations affected by a radiation accident)
この報告は、EU諸国が研究資金を供出するEC(ヨーロッパ委員会)が採択したSHAMISEN(Nuclear Emergency Situations - Improvement of Medical And Health Surveillance)プロジェクト(https://www.isglobal.org/en/-/shamisen)の研究成果になります。主幹研究所は、スペインのISGlobal(バルセロナ世界保健研究所)であり、このプロジェクトの主任研究者はProf. Elisabeth Cardisです。SHAMISENプロジェクトは18か月のプロジェクトを通して、ヨーロッパや日本の19施設からの参加者とアメリカ、ロシア、ウクライナやベラルーシの専門家と一緒に原子力災害の急性期、初期から長期へかけての何の対応をしたか(もしくは、何の対応をしなかったか)について調査でした。このプロジェクトは主にスリーマイルアイランド原発事故やチョルノービリ原発事故、福島第一原発事故などの過去の原発事故からの教訓をまとめました。このような原子力災害からの「教訓」は準備と対応や被災者への健康調査への改善に対する提案内容の基盤になります。加えて、放射線災害としての倫理的な影響や経済問題なども考慮されました。また、専門家との打ち合わせは我々の提案の効果や影響を最大限に引き出すため、プロジェクトを通して実施されました。このプロジェクトの最終的な勧告は、2017年5月に放射線災害における準備、初期や中期への対応、復興期の改善に役立つ28項目として報告されました。またそのうちの7項目の一般原理に関する勧告は、危害よりも利益をもたらすことの倫理的な原則の包括的な内容に加えて、様々なタイプの事故や災害へ応用可能であるとされておりました。さらに、この勧告は被ばく線量評価、避難と屋内退避、健康調査、疫学調査やコミュニケーションとトレーニングなどの広範囲で詳細な内容を記載しています。(下記:勧告の概要)
②「原子力事故または放射線事故に関して放射線量、健康および福祉を支援するためのモバイルアプリ」(英語名:Mobile apps for monitoring radiation doses, health and welfare in the context of a nuclear or radiological accident)
SHAMISEN-SINGS(Nuclear Emergency Situations - Improvement of dosimetric, Medical And Health Surveillance - Stakeholder INvolvement in Generating Science)プロジェクトは約2年間でEU、ウクライナ、日本(福島医大を含む)の研究者間での議論を通して、2020年6月に推奨事項を報告しました(https://www.isglobal.org/en/-/shamisen-sings)。この研究は前プロジェクト(SHAMISENプロジェクト)の勧告に基づいて、放射線線量や健康/福祉を示す指標などのデータの収集の支援を新たなデジタルデバイスを活用しながら原子力に関連した防災や事故からの復興における住民参加を促すことを目的としていました。図の日本語版のSHAMISEN-SINGSプロジェクトからの推奨事項は、線量測定、健康と福祉、データ管理計画、倫理指針の4項目となっています。この推奨事項の適応は、a)公的機関および公衆衛生と放射線防護の専門家、b)アプリ開発者、c) 一般市民が対象者でした。